日本のオリハルコン(ヒヒイロカネ)の材料を探す

[オリハルコン]というものをご存知でしょうか?ゲームやSF小説などに登場する金属で、ドラゴンクエストにおける[ロトの剣]の材料でもある。もともとは太古の昔に海に没したアトランティスにて精製されていた金属または合金で、真鍮がそれにあたるという説が現在有力のようだ。

オリハルコンと同じものではないかという金属が日本の古い文献に登場する。それは[ヒヒイロカネ]と呼ばれ、漢字で緋緋色金と明記する。天皇家の所有する三種の神器(天叢雲剣)もヒヒイロカネ製とのことだ。朱く輝き、熱伝導率が高く、鉄より柔らかく、金より軽く、合金にするとプラチナより強度が高い。太古の昔には、それほど珍しいものでは無かったみたいだが、技術が失われたのか材料が枯渇したのか神武天皇以降は作られていないそうだ。

ちなみにルパン三世石川五右衛門斬鉄剣ヒヒイロカネで出来ている。

[竹内文献]という古文書にヒヒイロカネの伝承が残っており、どうやら岩手県釜石市で産出される磁鉄鉱の一部である餅鉄が原料であるとの記録がある。ちなみに地下鉄サリン事件で世間を騒がせた宗教団体が釜石市の隣の遠野市にて、ヒヒイロカネを探して山中を歩き回った話は地元では有名だ。

 

今回は、日本版オリハルコンであるヒヒイロカネの材料の餅鉄を探して釜石市橋野にやってきた。この橋野地区は現在世界遺産の登録を目指す橋野高炉跡という史跡があるので見に行った。

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幕府に製鉄を禁止されても山奥で隠れてやってた辺りがかっこいい。

資料館駐車場の草刈をしていたおじさんに、餅鉄の採れる場所と見つけ方のコツを教えてもらっていざ橋野川へ。周辺の川で簡単に見つけられる。

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あらかじめダイソーにて磁石を購入し、川原の石に磁石を近づけてみる。

普通の石なのにくっついた。

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探していくうちに巨大な岩石も見つかったが、餅鉄というより磁鉄鉱の一部分に反応しているようだ。これは餅鉄とはいえないかも。

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餅鉄の特徴は、鉄の成分が多く、全体的に分布しているとのことだ。15分くらいでそれっぽい石が何個か見つかった。強力な磁石を用意することをオススメします。安い磁石だと引きつける力が弱いので気がつかないかもしれません。

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そんな中一番磁石をひきつけたのがこの石だった。

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これを餅鉄と決め付けてテイクアウトした。

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接点が少ないのに、このパワー!!

 

ちなみにヒヒイロカネは、鉄とクロムの合金であるクロム鋼という考察をネットで発見した。たしかにクロム自体は銀色だが、クロムを含む紅鉛鉱は赤褐色だし、クロム鋼は表面に酸化膜を形成し錆びることがない。ここで面白いのが、天叢雲剣は隕石に含まれる鉄(隕鉄)で作られたという伝承があるが、隕石には多くのニッケルが含まれているため、鉄・クロム・ニッケルで合金を作るとステンレスが精製される。まさに錆びることなく、軽量で、強度も高い剣といえるだろう。